ふるさと納税をやってみました
「ふるさと納税」を実体験してみました!昨年(H25)末、かねて気がかりだった「ふるさと納税」に、私自身、チャレンジしてみた。 昨今はTV番組などにも取り挙げられるようになり、詳細に紹介するインターネット・サイトもいくつか立ち上がっていて、いくらまで納税なら得なのか? どこの都道府県 ・市町村がどんな特産品をくれるのか? どのように申請したらよいのか? など、懇切丁寧な情報には事欠かない。
制度の概要からお話しすると・・・ この制度は、平成19年に、総務省の肝いりによりできた。 趣旨としてはいくつかあるのだが、まあ、簡単に言ってしまえば、納税者が、現在の自分の住んでいる自治体にすべての住民税を納めるのではなく、かつて自分が生まれ育った故郷の自治体にも、恩返しの意味でその一部を納税し、そこの発展に貢献できないか、という要求にこたえたもの。 自分の意思で納税先を選べるという、これは日本の税制としては画期的なことだ。
結論をいえば、現在ある寄付金控除のしくみを利用し、「ふるさと納税」とはいいながら自分の故郷に限定せず、自分で選んだ応援したい自治体にも適用できるような制度になった。
なぜ、ふるさとでもない市町村に寄付しても「ふるさと納税」なのか? 寄付行為がなぜ「ふるさと納税」になるのか? は、分かりづらいが、もともと税法は、国・地方公共団体に対する寄附は、寄付金控除の対象としてきていたので、それを制度としてうまく組み込む? かたちとなった。 流れとしては、 ① その年の12月までに、まず、対象となる自治体に先行して寄附金を支出する。 ② 翌年、3月15日までに確定申告をして、寄付金の税額控除で国税から一部還付を受け (5%)。 ③残りは6月以降納付の住民税全体から控除してくれる。 と、このようになる。
ただし、寄付金控除の性格上、2,000円以下は足切りがある。また、自分の行った寄付金が、翌年にどれほど取り戻せるかは、各人の所得、年分によってちがい、前もって行う寄付の時点では確定ではない。へんな言い方になるが、寄附した額すべてが控除できる目安(上記2,000円は除いて)は、住民税納付額のおよそ10%~20%といわれる。なお、総務省が細かな試算をHP上で公開しているので参考にされたい。
地方自治体にとって、メリットはどうなのか? 望外の収入が期待できる。これを利用しない手はないので、数々の特産品をとりそろえ、積極的に展開している市町村もある。 むろん、本来、対価を求めない行為が「寄付」なので、何の見返りもしない自治体も多いが・・・。
実際、私が行ったケースを紹介しよう
まず、納税(寄付)地と金額を決め、自治体のHPから申し込む。
私の場合、奈良県の桜井市を選んだ。
理由は・・・。ここ数年、毎年のように奈良県を訪れ、同市のファンになっていること。奈良県の古寺仏閣めぐりをするうえでは、ここは外せない交通の要衝なのだ。
かつて廻った檜原神社、
平成25年12月20日、桜井市HPから申込み 平成25年12月28日振込票および特産品申込書到着 平成25年12月30日寄付金を振込
寄付金は年内に払い込まないと、次年度の確定申告に間に合わない。これでぎりぎり。自治体によっては年内の受付を20日前後で締め切るところもあるので、注意が必要だ。
特産品は自治体によって様々。牛肉、米、野菜などが多い。カニを送ってくれるところもあるが、こういうものは季節商品だから、申込み時期が限られる。
桜井市では、特産品カタログが贈られ、16種のなかから選ぶシステム。ここでは寄付額5千円以上と1万円以上のランクで、選べる範囲にちがいがある。もっともいくら寄付しようが、一年一品までだ。こういうところは株主優待券に似ている。
ここでは「
平成26年1月8日領収書到着。 領収書がなければ寄付金控除受けられない。日付が25年中のものか確認する。 桜井市は領収書および確定申告に必要な書類まで一覧記載してくれた。親切な配慮がある。 「纏向考古学通信」も同封し送ってくれた。考古学マニアには垂涎のものだろう。
平成26年1月23日特産品の「
結論めいたことを言えば・・・ 「寄付」という概念と「納税」という概念のあいだには、相いれない感覚の相違があると思う。 寄附は原則、無償の行為であり、対価を求めない。 たから、何のみかえりがなくても、それが当然、という考え方がひとつにはなりたつ。 一方、税法上では、社会公共性の観点から、特定の団体に対して、寄附を行った者には、税制上の優遇を与え(インセンティブ)て、自発的寄附を誘導している。つまり、対価らしきものを与え、本来ガバメントが投入すべき公共性のある設備投資や活動行為への、税金の負担を軽減させる。もっともあまり肩入れして不公平感がないよう、税金面でちょっぴり優遇するのだけなのだが。 ふるさと納税のインセンティブを前面に出せば、いくらまでなら実質負担がないのか? どこの市町村が、より特産品のメリットが大きいのか? が先行してしまい、得、損か、の話になってしまうのも、何か一本はずれている気がする。昨今、TV局などで取り上げるせいか、特産品のボリュームばかりがより加熱気味になってきたのも問題だ。繰り返すが、基本的には寄附、つまり対価を求めない行為のはずだからである。 視点を変えて、寄附を受ける地方公共団体にしてみれば望外の収入。財政赤字になやむ多くの市町村にとってはありがたい話だ。しかも批判なき納税者のくれた税金なので、予算執行の責任は軽いのではないか。
まあ、何はともあれ、自分の意思で納税先を選び、自分の出したお金が、その地方公共団体に有意義に使ってもらえると考えるのがいちばんの楽しみ。 特産物も、株主優待券程度のものと認識して、継続的に行っていければ、人生の豊かさにつながってくると思うが。
追記 : 7月始め、市から住民税のことしの税額が送られてきた。 結果、今回は寄附額がそのまま市民税の寄付金税額の控除にはなっていなかった。 他に2件ほど別口の寄附があって、これが結構な金額だったこともあるだろう。 こちらですでに税額控除を使っていたからか? 寄附金控除の計算は相当複雑で、うまくいかないことが多いと実感した。